TOPICS:家具リラックスの、メンテナンスの考え方。-家具メンテナンススタッフ井上が語る-
家具リラックスでは、普段、買い取った家具をメンテナンスし、破れた箇所の修繕や、家具の脚の補強、ワックスがけなど必要な調整をおこなってから、また販売しています。
今回は、そのメンテナンスをおこなっているスタッフ井上に話を聞きました。
構成:コペルニクスデザイン 福島
拭いて、触って、匂いを嗅いで、初めてわかることがある。
――この仕事を始めて、どれくらいですか?
井上:三年目です。友人がこの会社にバイトで来ていて知ったんですけど、社長が面白そうなことをしているな、と思って。僕の両親が公務員ということもあって、まったく別の世界というか、どんどん新しいことにチャレンジしていく民間企業ならではの面白さに惹かれて入社したのが始まりなんです。
――入社してから家具を直すことを学んでいったんですね。
井上:そうです、社長がとことん教えてくれて。家具のメンテナンスをメインに、他の仕事も経験しながら勉強してきました。今は僕ひとりで家具の調整をほぼすべておこなっています。
――どんなことから練習したんでしょう。
井上:最初は拭き掃除から。拭き掃除って、一見簡単そうに見えて難しいんです。拭きながら気づく点ってめちゃくちゃ多くて、「あ、ここのネジが緩んでるな」とか「カビが生えてるな」、「木にヒビが入ってるな」とか「ボンドで補強した方がいいな」とか。むしろ、そういうことって、拭き掃除をしているときにしか分からないと思うんです。
「拭いて」って言われて拭くことは誰でも簡単なんですけど、社長から教えてもらったのは、拭いて自分の目で見て触って、匂いを嗅いで、それで初めて分かることがあるっていう、拭き掃除なんです。
この家具が仕上がったら、僕が直に届けに行きたい。
――どんな家具を直すことが多いですか?
井上:主に椅子や机ですかね。素材にガラスが入っている家具なんかは、割れてしまうと直せないこともあるので。
生地が破れてしまっている椅子。
破れを直していく様子。
鋲を打ちつける作業。
――今までで骨の折れたメンテナンスは?
井上:メンテナンスというよりも、もっと補修範囲の大きい、修理の依頼だったのですが(家具リラックスでは買い取った家具におこなっているメンテナンス以外に、修理のみの依頼も承っています)。
今まで特に苦労したのは椅子の、座面の張り替えで。ちゃんと張りが出るのか、見た目が綺麗になっているのかっていうのがすごく難しくて。でも難しいこともしっかり仕上げたいんですよね。
修理代金で新しいものを買えるにも関わらず、修理を任せてくれているじゃないですか。同じお金で新品を買えるのに、今まで使っていたものをまた使いたいという気持ちがすごいなと思うから。
修理をしてほしい、っていう依頼自体、うちの会社も、業界的にも、今すごく多くて。新しいものを買うよりリメイクして使いたいって需要が高くなってきているのは、素敵なことだなって感じるんですよね。思い入れのある家具を次の代にも残していく、っていうのは。
――そんな思い入れのある家具は、なにかありますか?
井上:僕、子どもがいるんですけど。今家族で囲んでいるカリモクのダイニングセットは、僕が小さいときに使っていたものなんです。めちゃくちゃ綺麗な状態なんで、どこかを直したりはしてないんですが(笑)。両親が大きなテーブルを少し持て余すようになったこともあって、受け継いで。
――そうですか。最後に、これからこの仕事でやってみたいことは?
井上:直したものを直接お客様にお届けしたいです。今は、中でばかり作業をしているので。
ちょうど今、サロンをオープン予定のお客様の家具を修理しているんですけど、お母さまから譲り受けたとても大事な家具だと聞いていて。この家具が綺麗に仕上がったら、僕が直に届けに行きたいと思っています。どんな顔をしてもらえるのかすごく楽しみだし、どんな人が使って、どんな人が直してほしいと思っていたのかというのも、自分の目で実際に見てみたいんです。