頬ずりしたいくらい、かわいいなと思う。

家具は世界だ。

売った家具をどう活かしてもらっているか見たい。
という気持ちは、やはりあります。大事にされていた家具を引き取って、“次の持ち主を探す”というところまでが、僕たちの役目だと思っているからです。
 
美穂が丘ガーデンズ。兵庫県神戸市西区の美穂が丘に2022年6月オープンした施設です。
地産地消を考えた野菜やくだものの販売をするマルシェ・カフェ・キッズルームなどがあり、度々イベントやセミナーを開催しています。近隣の小学生が児童館代わりにしたり、親子や、シニア世代が団欒したり、地域のみんなで利用できる場所。
その施設内では、リラックスから購入した家具をたくさん使用してくださっています。オープン前に足を運ばせていただき、僕たちのもとから巣立った家具がどんなふうに使われるのだろう、というのを見せていただきました。


2階交流スペース。

▶︎神戸洋家具の椅子(写真2枚目)。神戸洋家具については、後述します。

2階セミナールーム。

▶︎このお部屋には珍しい8人掛けのテーブルも搬入。
地域のみなさんが書道をしたり、絵葉書の勉強をしたりするそう。ここにも木の家具を。

応接室。

▶︎応接室にも、神戸洋家具を搬入。

1階のカフェ(美穂が丘キッチン)。

▶︎閉店したカフェから一気にお買い取りしたテーブルとチェアを置かせていただきました。

キッズルーム。

▶︎リラックスは日頃、家具以外もお引き取りしています。なので、本を寄贈しました。
(この日はまだ並んでいなかったようですが、みなさんに読んでもらえるのが楽しみです)


ぐるっと見ていたら、代表の大山さんが声をかけてくれて、少しお話しをしました。

「剥げていてもいい。きんきらの綺麗なものを求めているわけじゃない」

小松:購入してもらった家具を引き取りに来てくれたのが大山さんで。そのとき僕が倉庫にいたのでお会いしましたね。

大山さん:うん、自分で購入して、自分で取りに行きましたね。周りはちょっと、家具に興味が薄いかもしれない。置くものはスチールの、事務机でいいんじゃないかと。オンラインストアで気軽に買っていいんじゃないかと。でも僕は、“いやいや。製作した人の気持ちが通じるような家具や、木の温もりに囲まれたくないのか?”と思うんです。

小松:木、がお好きなんですね。大山さんの経営なさっているグループは『ウッドランド』というじゃないですか。なにか関係があるんですか?

大山さん:僕、いちばん最初に作った施設が介護施設で、それがスウェーデンの建築方式やったんですよ。高齢者が──人間が住む場所はね、呼吸している『木』に包まれるのがきっと一番やと信じて。鉄筋コンクリートとか、鉄骨よりも。昔新卒で大手鉄骨系住宅メーカーの営業に就いたんだけれども、こういうことを考えていたら辞めたくらい。それで『ウッドランド』、スウェーデン語の響きも考えて。

【写真右:代表 大山さん】

小松:そうだったんですね。それで家具も、木を使ったものを主に買ってくださっているんだ。大山さんがお好みの家具のジャンルは『神戸洋家具』というものですよね。木で出来た茶色の家具、40年前ほど昔に流行した高級家具。

大山さん:ええ。こういう応接セットもね、他社で、新品でぴかぴかの良いものもあると思うんですよ。けど、僕にとってそれがいいわけじゃあないんですよ。剥げていてもいい。きんきらの綺麗なものを求めてるわけじゃない。僕が好きなのはしっかりと木で造られた、この家具たちなんですよ。

小松:なるほど。神戸洋家具って、僕たちが見れば価値ある高級家具だと分かるのですが、リサイクルショップさんでは単に古い家具として処分されてしまうこともあるんですよね。でも、こうして、家具の『ファン』から『ファン』へお届けできて、すごく嬉しいなって思います。

岡田:それに、この椅子なんかは100年以上昔の椅子の作り方をしているので、大きなバネが入っていて、古い家具と言えど座り心地も全然へたっていませんしね。……なんかね、ちょっと商売人っぽくなってしまうんですけど。僕、こういう木の家具はまた価値が上がると思っていて。20年後か30年後かわかりませんが。

大山さん:専門家ではないからその目線(相場的なもの)はわからないんだけども。単純に、僕はこういうのが好きなんですよ。頬ずりしたいくらい、かわいいなと思う。

岡田:若い頃、神戸洋家具のジャンルにある『永田良介』の家具が買えなかった、ということもおっしゃっていましたよね。

大山さん:新婚の頃に婚礼家具を、と思って見に行ったんですけどね。高すぎて買えなかった!そのときの、ああ買えなかった、っていう思いもずっと残っていてね。

家具は自分で動けない。

大山さんとの会話のなかで、神戸洋家具がリサイクルショップでは処分されてしまうこともある、という流れがありました。価値ある家具が、その家具を本当に好きな人の手に渡っていくことなく壊れてしまうのは、とてももったいないと思います。家具は自分で動けないので、どうにか、僕たちが橋渡ししたい。

帰り際。鳩時計も購入していただいていたのですが、「どうやら鎖を引っ張りすぎてしまったようで鳴らなくなった」とのことだったので、修理をさせてもらいました。
この鳩時計も、とあるお客様が一番大事にしていた鳩時計なんです。こうして気に入って購入してもらえたので、末永く使っていただけたらなと思います。

家具が好きな大山さんに、愛情をもって購入していただいた僕たちの家具。
この日伺ってから、また追加の家具も搬入させてもらいました。『ファン』から『ファン』に渡った家具が、みなさんの憩いの場で大事に使われていることを思うと、なんだか満たされた気分になります。

【美穂が丘ガーデンズ】
〒651-2216 神戸市西区美穂が丘1-4-2
TEL: 078-994-5077
ウェブサイト:https://www.miho-gardens.com/