【350年のイラン家具】乾燥した空気とシルクロードが生み出したもの。

家具は世界だ。

信じられない年月を経たイラン家具との遭遇

日本ではイラン家具と言われても想像もつかないと思います。私も出会ったのは最近のことです。ペルシャ絨毯に魅了され、イランに買付に行った時のこと。そこで信じられないくらい古い時代のアンティーク家具に出会ったのです。日本でのアンティーク家具といえば、せいぜい大正時代~明治時代の100年ほど前の家具です。ヨーロッパの家具だと、1800年代後半~1900年代初頭くらいの100年~150年くらい。もちろん中には200年前の家具に出会うこともあります。

しかし、驚くことにイランでは「これは300年前の家具だよ、こっちは350年前の家具」という具合に説明を受けたのです。日本国内でたくさんの家具買取をしてきた私にとってはにわかに信じることができない年数です。

乾燥した空気とシルクロードが育てたもの

なぜなら家具は木でできている為、100年を超えると腐ってきたり、構造上、反りや割れなどの狂いが生じてくるので使える状態を維持するのは難しくなってきます。

では、なぜイランには350年前の家具が存在するのか?ここからは私の推測になりますが、砂漠が広がるイランは日本と違って四季がありません。また、イギリスのように西岸海洋性気候や偏西風の影響で雨が多く降ることもありません。つまり、1年を通して湿気のない乾燥した気候の為、木製品が腐りにくいのではないかと。この乾燥した空気のおかげで歴史あるイスファハンなどの街には当時の家具が腐らずにそのまま残っているのではないかと。

私は強烈な感動を覚えました。シルクロードを通して西洋と融合された中東の独特なデザイン、文化と歴史のある長い時間。そんな唯一無二な存在の家具が日本ではまだ知られていないのです。イラン家具を買い取りして日本に紹介したい、と強く思いました。

幸いに、私にはペルシャ絨毯の買付を通して現地のイラン人の友達や、イラン国中を案内してくれる素晴らしいガイドさんがいます。このネットワークを活かしてイラン中のアンティーク家具を探そうと、現在動き始めています。

まずは手始めにコンテナ1台分の家具を買い付けようと、情報収集しているところです。350年前の物語のあるイラン家具。みなさまにお披露目できるのを楽しみにしています。