感性、鑑定。〜 LOVE FURNITURE店長:猪狩孝平さん 〜

目利きな対談、ガテンな対談

いわゆるおしゃれな若者が集まる神戸・栄町エリア。2019年4月、その路地裏のビルの2階に家具屋「Vintage modern furniture and art “LOVE FURNITURE”」がオープンしました。店長の猪狩孝平さんは、当社の倉庫に買い付けに来られては「泥棒でも入ったんちゃうかというくらい段ボールも開けて」(岡田談)くまなく「宝探し」をされるバイヤー。持ち帰られる家具のなかには、当社の鑑定ではタダ同然だったものも少なくありません。岡田は毎度「ちゃんと売れるんやろうか」と懐疑的ですが、LOVE FURNITURE(以下、ラブ)さんのInstagramを覗くと数日後にはsold outになっているから不思議です。

買い取りの目利き・岡田と、販売の目利き・猪狩さん。中古家具はふたりからどんな眼差しを受けているのでしょうか。


「家具を妥協してるおしゃれな子、多いんですよ」(猪狩さん)

岡田: 猪狩さんは、2018年の年末まで大阪の家具屋さんで働かれていたんですよね。

猪狩(敬称略): はい。アメリカのビンテージを扱っている店で4年ほど。昔から「2001年宇宙の旅」に出てくるような、スペーシーな家具が好きだったんです。この店でもそういう家具も置きたいんですが、オーナーの石田に止められました。玄人志向すぎて神戸のひとは好きじゃないだろうから、と。

岡田: 神戸のひとが好きな家具?

猪狩: もともと僕は、石田が元町でやっている古着屋「トロア」の客だったんですね。ちょうど退職した頃に、彼と「服はビンテージ好きでおしゃれやのに、家具が平凡な子って多いよなぁ」「このへんに安くて粋な家具屋ってないなぁ」って話で盛り上がって。

岡田: めっちゃおもしろい、それ。一点モノを好んで着るおしゃれなひとも、家には量販店で買った家具が並んでいるんですか。

猪狩: そうなんです。そこ妥協してるんや、みたいな。選択肢を知らないというのもあると思います。もしくは、この近くにもBoConceptさんやウニコさんの店舗がありますが、価格帯が明らかに違うので手が出ないとか。それで、「この金額のビンテージの服を着るひとやったら、家具にもこれくらい出すんちゃうか」と値付けを試算して、「安くてテイストの合う仕入れ先があったら家具屋をやろう」と知り合いをあたっていたら……

岡田: うちの倉庫にたどり着かれたんですね。なるほど、ビンテージや古着に共感するひとたちが集まる家具屋

猪狩: 知識として家具を知っているお客さんは、うちの店は少なくて。僕らが感覚で探してきた家具をInstagramや店のディスプレイで見て、「かっこいい」って価値を見出して買っていってくださる方がほとんど。テイストとしては、いまの若いひとが使っていないような———-量販店に陳列されていないような———-存在感と、それでいてモダンで使いやすいデザインが多いですね。

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