「古い」は、「悪い」なのだろうか?

家具は世界だ。



またまた、最近、僕が思っていることを語りますね。

軽井沢の会員制のホテルのオーナーさんが、家具を僕から、新品の金額より高い金額で買ってくれるんですよ。新品で100万円のソファにもかかわらず、僕の買い取った中古の状態を、120万円とか130万円で買ってくれる。
そのオーナーさんの考え方として、「あえて人が5年間使うことで、新品特有の気が張り詰めたようなツヤツヤ感などが丁度よく馴染んで、ホテルの空間に溶け込むようなソファがほしい」と。宿泊してくれる人を心底癒すにはどうするか、っていうのを考えた時に、そういうソファがいいと。
きっとこの方は、“時間”という付加価値をつけて買ってくれているんですよ。

日本は、他国と比較すると、家具の歴史が浅いです。イギリスアンティークが流行ったのが1800年代後半とか1900年代初頭って言われるんですけど、その頃日本は大正時代で、イギリスアンティーク家具を模してつくったのが大正時代の家具なんです。江戸時代までは家具という家具はなく。そんな経緯もあり、僕が思うに、日本の『世の中』には、家具への文化があまりない気がします。
だからこの国で一般的には、100万円のソファを5年使ったら50万の価値と捉えられがちだし、10年使ったらタダ同然で取引されることが多い……と思うんですけど、イギリスやフランスなんかは逆で。新品を誰かが使ってええ感じになったら、時間をプラスの要素としてみてくれるんですね。古いマンションとかアパートに価値があったり、古い家具を上手につかってる。

僕もそういうのが好きなんです。

それで何が言いたいかっていうと。僕個人も“中古”に関して、元値に対して何割減する考え方よりも、付加価値がついていくって見方をしたいなと感じてて。5年とか10年くらいでちょうどその家具が使い心地よく……、ソファであれば、座った時になんかこうすごく体にフィットするような。そんな“古い”からこその価値みたいなものに、重きを置くのが好きだなって。

近頃そういうことをよく考えています。

もちろん、無条件で「なんでもプラス要素」「なんでもアンティーク」って捉えられるわけではないですけどね。鑑定となると話が別になってしまうこともありますし。でも、最近ね、インスタとかメルカリとかジモティーとか……そういうので一部の人が、 “シミがあって味のある家具”とか、“素材は化粧板で良くはないし、つくりも簡易だけど、なんか格好いい家具”とかを楽しんでいるのを見ると、うわあええなあって、わくわくしたりもするんですよね。