断捨離と再利用。
先日、とあるご家庭に絨毯の買い取りへ伺ったんです。
>>【“買い取る”だけじゃないレポート】 断捨離するには重たい絨毯だけれど。
その際に、他の物も買い取らせていただくことになったんですが、いろんな家具を見せてもらって。
ひょっとしたら、家具の買取屋に見せなかったら、処分を選ばれてはったかもしれない。でも僕は、それぞれの家具には捨てられる以外の行き先があると思ってるんです、九割九分五厘。
たとえば。これは、玄関のスリッパ置きなんですけど。まるがあったり、棒があったりする形が格好いい。家具買取屋としての理論だと値段がつけづらいこともありますが、こういうレトロでおしゃれな家具を「ほしい!」と思う人がたくさんいるのも、知ってるんですよ。
>>【目利きな対談 ガテンな対談Vol.01】 感性、鑑定。〜 LOVE FURNITURE店長:猪狩孝平さん 〜
これはイームズの、アメリカのミッドセンチュリーというカテゴリのなかにある家具。
カリモクの椅子も、品質が高いからメンテナンスすればまだまだ使える。
そしてこの机。神代杉というもので作られた机なんですね。海の中とか池の中に何百年も沈んでいた杉ってこういう独特なグレーをしていて、木面がすごくきれい。今はなかなか売っていませんから、ぜひ欲しいと手を挙げてくださる方がいる。
こういう風に、家具にはいろんな特徴や性質があって、それぞれ適した人のもとに行く。
まだまだ次の人に使ってもらえるものなのに、そう思ってもらえないまま処分されてしまうとあまりにもったいないです。
「あの音聞いたら潰してもらう途中でやめた」
お客様には、ご実家の整理で家具買取の連絡をくださる方も多くいらっしゃいます。親御さんが施設に入居なさったなどで環境が変わり、家財を断捨離するために。
そんな方々の中には、一旦ご自身で市に家具処分の依頼をなさったものの、目の前でパッカー車が親御さんの家具を爆音で潰す瞬間に心が痛み、途中で処分依頼を取りやめた方もいらっしゃいました。「あの音聞いたら潰してもらう途中でやめた」って。そうやって、思い入れのある家具が壊れていくことに堪えられないから、うちを見つけて連絡をくださったと。
でね、僕らも、そうして見せてもらう家具に対して「これめっちゃいいやん、かっこいいやん」「うわ、これ絶対にほしいって人がおるやん」って感動があるわけで。個人的にね、やっぱりこの仕事はあったほうがいいと思うし、だれかの役に立ててるなあと思うんですよね。
家具の買い取り屋さんって全国にあるわけではなくて、地域によっては限りなくゼロ。でも、実家の整理っていう現象は日本中で起きてる。実は、この記事の前半でお写真を載せさせてもらったご家庭も、実家の断捨離のための依頼でした。
同時多発的に起きているその状況を全部どうにかするっていうのは綺麗事かもしれないけど、「捨てずに活かしたい」とか「再利用したい」とか思う気持ちを持つ人が、僕らのお店を見つけて電話してくれるのであって。その人たちの期待に応えるというか、需要に応えるというか、そこはまず頑張りたいんですよね。そんなことを、ふと思いました。